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おきらく48

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5月17日

〝あの馬鹿なアジア人は、今頃森を彷徨っているな。〟 
キャンプ場のおっさんが、下からトーチで顔を照らしながら ほくそ笑んでいるのが、目に浮かぶようだ。

私はフェイク地図を握りしめ大通りに出ると、 大雨が降り始めた。 どうみても本降りにしか見えない。
すでに一つ目の角から森に続く小道になっているが、 私は馬鹿正直にも二つ目の角から森に入って、どうみても10分で駅に着かないのではと思えた。
残念ながら、その勘は正しかった。

山間部に住んでいない限り 日本人には馴染みは無いだろうけど、 いわゆる普通の森だ。
木々の間から木漏れ日が差し込み、 けもの道ではないあぜ道がまっすぐと続いていて、 夏場なら優雅に朝の散策に持ってこいだろう。
どしゃ降りなんだよ。

私は雨ざらしのまま マウンテンジャケットのフードの隙間から見える視界で、あぜ道の水たまりをさけながら歩いていた。
森は静寂すぎて 雨音が跳ね返す音くらいしか聞こえなかったが、 それでも時々朽ちた倒木や大きな水たまりなどが 道を塞いでいたりした。

しばらく歩いていると 前からランニング集団がやってきたので、〝この先に駅はありますか?〟と訊ねた。
すると若者達は息を切らしながら 駅への行き方を説明してくれたのだが、 なんだか地図に書いてある事と微妙に違っている様な気がする。 
流暢な英語でフレンドリーな彼らが 嘘を言ってるような気もしないし、 とりあえず指さした方に行きゃいいんだろうと 私は楽観的に思いながら、しばらくして大通りに出てきた。 
だがしかし森の中の舗装道路のため 車で通りがかる様な場所にあり、 本当にどうなっているのかと茫然としただけだったのだ。

あてにならない地図や通行人なんかよりも、 とりあえず民家だろ民家と 探していたら住宅地に出てきた。
どっちに行けばいいのか いちいち迷いながら歩いていたら、 道路の向こうの方で犬の散歩をしている人がうっすらと見えたので、 私は急いで聞きに行った。

黒皮ジャケットに革靴といったデンマーク流ごく普通の犬の散歩スタイル(多分)で、 黒い大型犬を散歩させていた長身の男性がいた。
私が駅の行き方を聞くと紳士的に丁寧に教えてくれたが、 なんだかフレンドリーなランナーたちと微妙に違うような気がするし、 明らかに地図通りではなかった。
とりあえず言われたとおりに行ってみると、 森を出て〝えっ〟となった。
そう、キャンプ場に戻ってきたのだった。

ここでキャンプ場のおっさんに騙されたことに気づき、〝大通りを出て2つ目の角~〟の説明も無意味だと分かった。
つまり一つ目も二つ目もどちらも森に続く道で、二つ目を強調したのはより遠回りで、 しかもランナーや紳士などの説明も つじつまが合わないことがわかった。

私はキャンプ場の入口でしばらく立ち尽くしていたら、 ゆっくりと曲がって入ってきたバンを さっきのキャンプ場のおっさんが運転していて、 中で笑っているのが見えた。
私は、デンマークが嫌いになった。

(続く)


rain.jpg
どしゃぶりのニバ


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